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デッサン
DESSIN

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デッサンは本画の為の練習や下絵の役割だけでなく、それだけで完結された作品もあります。描く時間や目的に応じてスケッチ(Sketch)、クロッキー(Croquis)などの呼び名は多々ありますが、ここでは総じてデッサンと呼ぶことにします。日本ではとかくこの言葉を様式(スタイル)に当てはめがちですが、デッサンの定義である「線で形を表すこと」に立ち返れば実に多様な表現に発展する可能性があります。尚、ドローイング(Drawing)というのはフランス語のデッサン(Dessin)を英語にしただけです。何故だか両者の意味をカタカナ語で分けている方がいます。他国の言語に対して別な意味を創出するのは単なる誤訳でしかありません。
実はデッサンの意味には単なる図や地図なども含まれています。こう言うと驚く方がほとんどですが、結局これらも「線で形が表されている」ことには違いないのです。

線描による効能
・構図が明快になる。(Composition)
・遠近が表現できる(線遠近法・大きさの違いや重なりによる前後の関係)。(Perspective)
・プロポーションが明快になる(長さ・大きさ・太さ 等)。(Proportion)
・より厳密な構成(構築)ができる。(Construction)

デッサンが「造形の基礎」と呼ばれるのは以上のような効能があるからで、単に小手先の描写力を測る道具ではないのです。これらはアートに限らずデザイン全般・建築・マンガ・アニメーション等の仕事では頻出する課題です。

ここには明暗やボリュームを施したデッサンも含まれています。これは作者自身が求める「表現」だからです。
明暗法もモデリングもデッサンに付随するものですが必ずしも必須のものではありません。必須だとしたら平面的な絵画は成立しないことになりますから。
また、モデリングをハッチングと混同している方がいますが、モデリングはあくまでボリュームを表現する目的に限られています。ハッチングは元々は版画などの技法ですが、本来は複数の平行線を引くという意味のものです。表現したい効果に応じて直線や曲線の方向や重ね方が概ね決まっています。闇雲に重ねれば細かく描いた感じになるので、本来の効果を無視して乱用されているように思います。

目に映るものであれ、想像であれ、具象・抽象を問わず、脳が見たヴィジョンに変わりはありません。結局は作品自体が自分が思ったように描けているかが問題なのではないでしょうか。カメラは確かに情報を記録するのに便利な道具ではありますが、実際に自分が知覚した視覚情報との違いを認識しておくことが重要です。分かりやすいところでは色の違いですが、意外に気づきにくいのは遠近法に代表される前後や上下の空間関係です。自分で実感しないと分かりにくい問題ですので、カメラで撮影すると同時に物の大きさの関係に注意しながら、肉眼による簡単なスケッチをするなど写真と比較することをオススメします。