Eiko Naganawa:"J'essaie de rompre
l'equilibre entre les choses"

「アンバランスこそエネルギーの源」

CAMBODGE SOIR  17 June 2002

<カンボジアのフランス語日刊紙より要約>

エイコ・ナガナワは、「むかしむかし」などで始まる古今東西のおとぎ話に興味が深く、彼女が児童書の挿絵を多く描いていることは偶然ではない。しかし、ひとたび彼女の絵筆が、キャンパスを滑り始めると、児童文学のむかし話から離れ、大胆な色使いの波に筆は押され、身体を揺らし調和をとりながら混じりあう幾多の女神が描きあげられる。

このアーティストは、多数の色と線を駆使して、日本の伝説、時には12世紀までさかのぼり、また能の着想をも取り入れて生き生きと描いている。彼女は、生と死といった物事の本源的なところから思考しようといていて、コンピュータやハイテクの機械社会に対峙しようとしているかのように見える。

エイコは、非物質的なものを感じ取りたいと願っていて、生き物と自然との危うい均衡を模索し続けているのであり、彼女の生き生きとしたタッチは、ある時は冷ややかで、ある時は暖かい色合いで、この探求を大胆に表現している。

「危うい均衡の中からエネルギーが沸いてくるのです。描いている時は、自分が何を表現しているのか無意識のうちにやっています。私を導いているのは、まさに自分の感性ですが、それは自分の五感の外にある別の感性のような気がしています」
と、伝統的な日本の着物を身にまとって彼女は説明してくれた。

これらの混ざり合った色使いは、シャガールの絵に通じるものを感じる。
『女神の舞』の荒削りな線による自然なスタイルは、色合いに美しい部分を残し、それらが二人の女神のダンスのステップを生み出し、女性の魅力をかもし出している。


2002/1 金魚がいただいた年賀状
(版画)

この芸術家は、いつも遊び心を持ち、タブーを解き放ち、子どもが描くようなタッチを持っている。このことは、熱烈な、また、歓喜の感情を解き放つ役割も果たしている。

「私は、いつもバランスを壊すことが必要だと思っています。もしすべてのことが、秩序立っていたら、世の終わりというものです」と彼女は力説する。今回の展覧会には、伝説の主人公の人物版画も展示されている。

この日本の芸術家は、30年も絵を教えているが、とりわけカンボジアでも2回を数える。1回目は2000年、カンポットで、ほとんど絵を描いた事のない小学校の先生たちに、2回目は昨年、プノンペンにて7つの州から集まった教育者にも、絵と絵本の描き方を講義した。

彼女のカンボジア訪問は4度目になるが、日本でも、クメール・アンコワール文化の普及におおいに努力しているという。自らを「絵筆を手に生まれた」というこの日本の芸術家の今回のジャバでの展示会、そして、絵と絵本のマニュアル本のクメール語への翻訳など、これらはまさに、Angyorの魅力にとりつかれた彼女のカンボジア芸術のルネッサンスへの貢献である。

Back